「申し訳ない」

またしてもイスに腰掛けて小さくなっているライアン。
その前で腕組みして仁王立ちしてるのは…私じゃなくてレオナルドだよー。

「人の話をちゃんと聞かないで先走るのは貴方の悪い癖です」

だそうです。
はい、お茶どうぞ。

「誰もあなた達の仲を引き裂くとは言ってません」
「はい…」

「しかしここに住まうあなた方は守られているが、他はどうでしょうか」
「……」
「部下達は?きっと王の命令でこの森で命を捨てることになるでしょう」

少しずつライアンの顔が曇っていく。
なんの話?

「南領地の館様達は反逆者として命を捨てることになるでしょう」
「そんなことっ」
「させないなんて出来ますか?仮にもなんの立場でもないただの貴族の
三男坊であるあなたが国王に」

ため息と共にライアンの前に膝まづいたレオナルド。

「だから詳細を把握したいのです。手立てを考えねば……皆が平和に暮らさねばならないのです」

ニコッとレオナルドが笑う。子狐風味の笑顔、頂きました!!

「お前…」
「はい?」

「お前の方が父上の子なんじゃないか?宰相であった頃の父のようだ」
「まさか(笑)俺の父は……旅人に成り下がったただの平民です」

笑った姿もイケメンだ。

「それよりも……」

急に顔を引き締めたレオナルド。

「ライ。出発前に領地には箝口令は敷いたが、立場上いつまでも自分がここにいるのはまずい。国王に知られるのも時間の問題だ。一旦戻ろうと思う……知り得た情報を持って。だから」

レオナルドはマキアージュに近づき両の手を取った。

「君を守りたい。秘密を話して貰えないだろうか……」
「あっ、それは俺のセリフ!」

ぎゃーぎゃー騒いでいるイケメン二人は何をやっても目の保養になるなぁ。
呑気にイケメン観察を楽しんでいるだけで、ここから離れて暮らす事を考えていないし、守るもなにも困り事がないマキアージュにとってはどうでもいい話なのである。

「マキアージュ、俺がなぜあの湖で倒れていたのか。まずはそこから知って貰いたい。ただ…君には辛い話を聞かせなきゃならないんだ」

今度はライアンからだ。
まぁ仕方がないので聞くだけ聞いてあげようということにした。私は優しいのだ。



「…という訳なんだ」

つまりはなんだ。私の故郷は先王に滅ぼされて赤ん坊だった私は拐われた。
その途中で熊に拾われクソジ…じぃさんに渡され、今度はエロジジィ現王に狙われていると。あれ?確か国王は付き合いたいイケメン絵姿のナンバー1だった。凄い渋い感じの。一度実物見てみたいかも……なんて。(ぐへへ)

「マキアージュ…そんなに戸惑わないで」

心配そうに揺れる金の瞳。

「そこまで理解した上で本当に魔力持ちなのか…と問うよ」
「君と暮らした日々、二度目に俺を助けてくれた奇跡」

二人のイケメンに見つめられ……
絶体絶命のピンチじゃないか?これ。

あの世のじぃさん……約束は守れそうにありません。