「げげげっ!なんだこれは!!!」

起き上がってビックリですよ。だってほら、あなた……
私の髪がですねぇ。

びろーん。

あら不思議。背丈以上もありました。

さらにそこのあなた、聞いてくださいよ。
金色だった髪がですねぇ。

あら不思議。銀色になってましたー(笑)

………まっ、いっか。

いいのかよー!とじぃさんあの世でずびっと突っ込み入れてる案件。

とりあえずはご飯ご飯っとー♪

「わっ!」

はい、立ち上がろうとして髪に足が絡まったであります。盛大にひっくり返って落っこちたであります。はい。

がったーん!
「痛ったーーーぃ!!」

ばたん!

痛たた…と腰を擦っていたら、開いた部屋の扉。
立っていたのはモスグリーンの素敵な隊服(見たことあるような…)をお召しになった栗毛、栗目のお兄さん。
どこかの家紋が入った濃紺スーツをお召しになった長めの白銀髪に金の瞳のお兄さん。

ひゃっほーぃ!!

「あっ、イケメンが二人も!!」
「マキアージュ!!」
「ひゃっ…」
「マキアージュ…マキアージュ」

白銀お兄さんに名前を呼ばれ抱き締められた!
どゆこと???
あれれ……この匂い。知ってるぞ。

指で白銀を掬う。金の瞳を見つめる……

「……ライアン?」
「そうだ!」

力いっぱい抱き締められた!!ぐぇー死ぬって!!

「苦し……ってば」
「愛している!」
「へぇっ!?」

「やっと、やっと気持ちに気付いたんだ!俺はずっとここに帰ってきたかった。マキアージュを愛しているから!」

なんですとー!!
なんかよくわかんないけど、だいぶ拗らせたんだね、色々と……ではなくて!
命の……危機なんだ…け…ど…

「……」
「マキアージュ?」
「隊長が……淑女をそんなに羽交い締めにしたから」

レオナルドが横から白目を向いたマキアージュを指差し。

「落ちてしまわれました」
「マキアージューぅ!!」




「…すまない」
「……」

ショボくれたライアンがベッド脇のイスに座り小さくなっている。うん、反省しろ。
ライアンに締め落とされた白目剥いた私は一緒に来た子狐風騎士イケメン(ぐへへ)にベッドへ運ばれたらしい。

「こほん」

イケメンは咳払いもイケメンだ。

「改めまして。自分はマルクス国第二騎士団副隊長、ライアン隊長がご不在でしたので今は隊長としてやらせていただいてます、レオナルド・フィーバーと申します。貴女のお名前を伺っても?」
「マキアージュと言います」
「ではマキアージュさんとお呼びしても?」
「じゃそれで」

いつぞやのやりとり再び。
なんかライアンにしたあれこれ仕掛けたらまた違う反応するんだろうか。楽しみ追加かも、これ。
にしても隊の敬礼かなぁ…イケメンだ。

「お二人が離れて三年と少し、隊長はあの嵐の夜から記憶を無くされていたため差し出がましいですが自分から少しお二人にご説明させていただきます」

おぉー、拍手とかしたら怒られるやつかな。
……三年?私は三年も寝てたのかー!!どおりで髪がこんなに伸びるわけだ!!お腹もすくわけだ!!あっ、思い出したらお腹が……

「大丈夫だ、マキアージュ」

急に目玉を丸くしたのを自分を憂いたのだと勘違いしたライアンにそっと手を握られた。
いや、違うし。お腹すいたの思い出したし。


「じゃあ話を聞きながら食事しよう」
「「えっ?」」

イケメンのハーモニー。

「今作るから……よっこいせ」

ながーいながーい髪の毛をとりあえずマフラーのように首に巻いてベッドから起き上がる。

「よせ、無理するな。君は死にかけていたんだろ?」
「なんの事?死にかけたのはライアンでしょ、あっ」

また余計な墓穴を掘った!!

「いやー…ま、そういう訳で」

そそくさと部屋から出る。

「しかし三年かぁ…三年前の食べ物じゃお腹壊すなぁ……」

なにやら不穏な言葉を呟きながらのマキアージュをぽかんと見送るイケメン二人であった。