薄暗い雨の日、
彼は様々な話を私にしてくれた。
その話はどれも面白く、
私の好奇心がくすぐられた。
「それを知的好奇心って言うんだよ。」
と彼は言うが、私にはどうなのか分からなかった。
分かった所で何ともならないからかもしれない。

しかし、彼がたまに
「神は存在すると思うかい?」
という問いに私は困った。
「いると思う」と返すと、
それは概念としての神なのか、
物体としての神なのかなど事細かく聞いてくる。
反対に「いないと思う」と返すと、
何故そう言い切れるのかを彼が納得するまで話すハメになる。
私は濁した答えを返すようにしていた。
そうすると彼は「そっか、うーん」といってそれ以上は聞いてこなかったからだ。