―あの時さ―

―アンタの一言―

―聞いたから―

―今のアタシが―

―あるんだと思う―



それから数ヶ月経った夏

アタシ達バンドメンバーは
他バンドのライブを見に行った

他バンドのスキルは凄かった

アタシ達と
比べものにならないくらい…

いや、アタシと
比べものにならないくらい…

他バンドのライブを見て
気が付いた

このバンドの
足を引っ張ってるのはアタシだ

アタシがこのバンドのVOCALじゃ
ぐだぐだになっちゃう

アタシはこのバンドのVOCALで
いいんだろうか

劣等感…

自分の声の
みっともなさ…

そして
メンバーから
どう思われてるかと言う不安…

色々な気持ちが
アタシの中で渦巻いていた

アタシはこのまま
このバンドのVOCALでいいのか

みんなはアタシが
このバンドのVOCALでいいと
思っているのか…

きっとアタシはその時
すごくみっともない
顔をしてたんだと思う

その時アキラからの
視線を感じたから

アキラがアタシを見ていた

視界に入るから気付く

でもアタシは
アキラを見ることができなかった