「いえ、彼女と待ち合わせ中です」


紗羅にこんなところは見られたくないので、優しめな口調でキッパリ言った。


「そうですか…。じゃあ、彼女さんが来るまで一緒にいてもいいですか?」



けれども中々折れてくれない。


それにお茶しないから良いと言う訳でもない。


「困ります。僕には彼女が——」


再度丁寧に断ろうとした。



「佐藤」


耳に一直線に入ってきた彼女の声。


「紗羅!」


見ると数メートル先に立ってこちらを見ている紗羅がいた。


「……誰」


「か、彼女さんですか?すみません」


紗羅の無表情で抑揚のない声に怯んだのか、2人の女性は去っていった。