土曜日。

俺には、好きな人がいた。
そいつが死んだ。
俺は、はっきりと見た。
そいつが息絶える瞬間を、この目で見た。

なにが起きたのかなんて、今でも分からない。
ただ、線路上には赤く染まった奴が倒れていて。
もう、俺の隣には誰もいなくて。
電車は激しい音を立てて、でも間に合わなくて。
線路に落ちるすれすれのところに、俺の友人がいて。

彼女は、呆然としていた。
周りの大人たちが動きだす。
俺は、そいつから目が離せなかった。



声が聞こえた。

友人が、なにか言っていた。
「ごめんなさい」と言っていた。
何度も何度も。私のせいだ、と。

その姿を、俺は見ていられなかった。