氷の美女と冷血王子

「あなた、課長とも親しいのよね」
持ってきたトレーは流し台に置き、腕を組んで私の方を向いた山川さん。

「ええ」
学生時代の同級生ですと言いかけて、言えなかった。

言えば言うだけ反感を買いそう。
ここまで好戦的な態度を見せられては、何も言わないに限る。

「誰もかれも美人って言うだけでデレデレしちゃって」
吐き捨てるような言葉。

「はあ?」
思わず口が開いた。

「何よ、事実でしょ。綺麗だから専務はあなたの言うことを何でも聞くし、いつも側に置いてべったりじゃない。その上ちょっと姿が見えないからって私達にとばっちりがきたんじゃたまらないわよ」
「すみません」
あまりの迫力に謝ってしまった。

「大体ね、あなたが来るまでは私達秘書室で専務のサポートをしていたの。それでちゃんと回っていたのよ。なのに、いきなり素人を連れてきて。はあー。結局、専務もただの男だったってことね」
見損なったわと言いたそう。

すごい毒舌。
普段はクールビューティーで通っている彼女とのギャップにびっくりした。