氷の美女と冷血王子

「専務っ」
呆れたような苛立ったような声が、何度か俺に投げかけられる。

しかし俺は、
「お腹すいてないから、今はいい」
それだけ言ってパソコンを叩く。

彼女と食事に行こうと思うから、無理して時間を作ったんだ。
その必要がなくなった今、目の前の仕事をこなすことが優先だ。

「それはいけません。ちゃんと食べないと体を壊してしまいます」
「後で何かつまむよ」
「そんな・・・」

あれ、困っている。形勢逆転か?

「いいから、君はお昼にして」
仕事の手を休めることなく声をかけるが、彼女は立ち尽くしている。

「では、何か買ってきます。ご希望がありますか?」
「いや、いいよ。正直コンビニ弁当にもサンドイッチにも飽きた」
「じゃあ・・・」
どうするんですかと言いたそうな顔。

「いいよ、本当に欲しくないから」
「でも・・・」

そりゃあ秘書としては、昼飯も食べないで仕事をすると言われれば心配なんだろう。
その気持ちもわからなくはない。
しかし、こんなに困った彼女を見られて俺は少し気分が上がってきた。
これって、小学生の男子が好きな女の子をいじめたくなる気分なんだろうか。

しかし、しばらく部屋の入り口に立っていた彼女は意外な反撃に出た。