「失礼します」
いつもは打ち合わせに使っている会議室に入ると、すでに課長がいて、その横には入社式で1度だけ見た顔の男性。
えっと、この人は・・・。
「社長秘書の山本です」
私の表情を読んで先に名乗ってくれた。
「青井君、ちょっと座って」
ポカンとしている私に課長が勧めてくれる。
「はい」
「実は、君に異動の話があってね」
「はああ?」
思わず大きな声を出してしまった。
入社して2ヶ月も経たない私に、異動?そんなバカな。
「私、何かしましたでしょうか?」
思い当たることはないけれど、それ以外考えつかない。
「違います。そうではないんです」
社長秘書の山本さんが、身を乗り出してきた。
「これは社長のたっての希望でして、あなたを秘書室に迎えたいんです」
えええー。
絶叫しそうになるのを、必死にこらえた。
嘘、嘘、ありえない。
だって、私は
「驚くのも無理はない。異例の人事なのも分かっている。しかし、考えてみて欲しい」
苦渋の顔を見せる課長と、申し訳なさそうな表情の山本さん。
私は、しばらく2人を見ていた。
「なぜ、私なんですか?」
考えて考えて、やっと出た声。
「社長の一目惚れらしいんです」
はあ?
社長と言えば、40代のダンディいなおじさま。
女子の間でもかなり人気があったのに。
これってパワハラ、職権乱用。どうかしているとしか思えない。
「断ることはできますか?」
やっと冷静になって、課長に向かって聞いてみた。
「うーん、できなくはないが、君が働きにくくなるんじゃないかなあ」
「・・・」
確かにそうかもしれない。
でも、納得できない。
「私は理系の女子です。SE.としての採用ですし、秘書検定だって持ってはいません。秘書としてのスキルは全くありません。何とかこのまま、SEとして働かせていただけませんか?」
課長ではなく、山本さんの方を見て言った。
「困りましたね」
山本さんはそう言って言葉を止めた。
長い沈黙の後、
「もう少し時間をもらおう」
と課長が言ってくれて、とりあえず異動の話は保留にしてもらった。
それでも、このまま終わるはずもなく、山本さんを通じて社長からのお誘いを頻繁に受けるようになった。
のらりくらりと交わしてはいたが、いつまでも断り続けることはできないのも分かっていた。
いつもは打ち合わせに使っている会議室に入ると、すでに課長がいて、その横には入社式で1度だけ見た顔の男性。
えっと、この人は・・・。
「社長秘書の山本です」
私の表情を読んで先に名乗ってくれた。
「青井君、ちょっと座って」
ポカンとしている私に課長が勧めてくれる。
「はい」
「実は、君に異動の話があってね」
「はああ?」
思わず大きな声を出してしまった。
入社して2ヶ月も経たない私に、異動?そんなバカな。
「私、何かしましたでしょうか?」
思い当たることはないけれど、それ以外考えつかない。
「違います。そうではないんです」
社長秘書の山本さんが、身を乗り出してきた。
「これは社長のたっての希望でして、あなたを秘書室に迎えたいんです」
えええー。
絶叫しそうになるのを、必死にこらえた。
嘘、嘘、ありえない。
だって、私は
「驚くのも無理はない。異例の人事なのも分かっている。しかし、考えてみて欲しい」
苦渋の顔を見せる課長と、申し訳なさそうな表情の山本さん。
私は、しばらく2人を見ていた。
「なぜ、私なんですか?」
考えて考えて、やっと出た声。
「社長の一目惚れらしいんです」
はあ?
社長と言えば、40代のダンディいなおじさま。
女子の間でもかなり人気があったのに。
これってパワハラ、職権乱用。どうかしているとしか思えない。
「断ることはできますか?」
やっと冷静になって、課長に向かって聞いてみた。
「うーん、できなくはないが、君が働きにくくなるんじゃないかなあ」
「・・・」
確かにそうかもしれない。
でも、納得できない。
「私は理系の女子です。SE.としての採用ですし、秘書検定だって持ってはいません。秘書としてのスキルは全くありません。何とかこのまま、SEとして働かせていただけませんか?」
課長ではなく、山本さんの方を見て言った。
「困りましたね」
山本さんはそう言って言葉を止めた。
長い沈黙の後、
「もう少し時間をもらおう」
と課長が言ってくれて、とりあえず異動の話は保留にしてもらった。
それでも、このまま終わるはずもなく、山本さんを通じて社長からのお誘いを頻繁に受けるようになった。
のらりくらりと交わしてはいたが、いつまでも断り続けることはできないのも分かっていた。



