氷の美女と冷血王子

大学では友達もできそれなりに楽しく過ごした時期もあった。
けれど、やはり男女関係のゴタゴタに振り回されて、親友と呼べる人には恵まれなかった。

コンパに誘われても人寄せパンダ。
「麗子ちゃんなんて恐れ多いよ」「きっと素敵な彼がいるんだろ」そう言って、誰も本気で私に向き合ってくれる人はいない。

結局誰と付き合うこともなく、私は23歳で社会人となった。


就職先は都内の一流企業。SEとして、勤め始めた。
先輩も同期もみんないい人で、初めのうちは仲良くしていた。
新人歓迎の飲み会や、同期の親睦会も何度かあり、友達もできはじめた。
しかし、やっと仕事に慣れてきた5月の下旬。私の運命が大きく変わり始める。

まずは朝、駅で待っていた同期に
「今度、2人で食事に行こうよ」
と誘われ、
「う、うん」
断るのも申し訳なくてなんとなく答えた。

そして昼休み、隣の部署の先輩から社内メールがきた。
『美味しいイタリアンの店があるんだけれど、付き合ってくれない?』
先輩は2コ上で、女子からも人気のある人。
もし誘いに乗れば、周囲から何を言われるかは想像がつく。
結局、イエスともノートも答えられないまま、返事をしなかった。

そして、最後はその日の定時前、私は直属の上司である課長に呼ばれた。