氷の美女と冷血王子

学校はエスカレーター式の私立の女子校だったから、そのまま高校大学と進学することもできた。
勉強は嫌いではなかったし学力的には何の問題もなかったが、私はそうしなかった。
とにかく、この場から逃出したくて、通信制の高校を選択。
近くの花屋で働きながら、高校へ進学した。

花屋の仕事は楽しかった。
毎日の水仕事で手が荒れるのも、重たいバケツを運んで腰が痛くなるのも、苦にはならなかった。
何よりも、同世代の子達から離れて、大人の中で過ごす時間は気が楽で、やっと自分で笑えるようになった。
フラワーアレンジも覚えれば奥が深く、自分が作り上げたものを評価される喜びも知った。

このまま花屋でもしようかと本気で考えた時期もあったけれど、私は大学進学を選んだ。
別に学歴にこだわるつもりはない。
このまま花屋になるのもイヤではない。
でも、逃出したまま終わりにしたくなかった。
勉強が好きなのに、友達が嫌いで学校に行かなくなり、自分は何も悪いことはしていないのに、偏見の目から逃出すようにドロップアウトしてしまうことが我慢できなかった。

「私は負けない」
それがその頃の口癖。

4年かけて高校を卒業し、大学入試を受けた。
寝る間も惜しんで勉強し、一流と言われる大学の工学部に入学。
専攻したのは情報工学。コンピューターの世界。
もちろん好きな分野だったし、この世界でなら外見も性別も関係なく、実力でやっていける気がした。