氷の美女と冷血王子

はかどらない仕事も、麗子との時間を作るための労力も俺としては限界なんだがな。

「ねえ、孝太郎」
「何だよ」
つい不機嫌な声になった。

「来週から、また出勤したいんだけれど・・・いいかしら?」
「はああ?」

体を起こし、麗子の上から見下ろす体勢。

「今、なんて言った?」

「鈴森商事に戻ろうかと思うの」
「それ、本気か?」

あれだけ頼んでも戻るって言わなかったくせに、どうしていきなり。

「結婚はまだ無理だけれど、私も孝太郎の側にいたいし、少しでもあなたの助けになりたいの。だから、徹に相談したのよ。そうしたら、休職扱いになっているから、戻れるって。でも孝太郎がイヤなら、他の人の秘書でも、他の部署でもかまわないから」

少しでも俺の役に立ちたいんだと麗子は力説した。

「ふざけるな。誰が他の奴なんかに付けるか。お前は俺の。誰にもやらない」

クスッ。
子供みたいに声を上げた俺を麗子が笑っている。

「お前、笑ったな」

仕返しとばかり、俺は麗子の胸元に唇を落とした。

「笑った罰だからな、今夜は覚悟しておけ」

今日は遠慮しない。
たとえ明日起きられなくても、俺は知らない。
煽ったお前のせいだからな。