「もう、こんないい部屋でなくても」

ブツブツ言う麗子を無視して、スイートルームをとった。

「もったいないと思うなら、結婚しよう。そうすれば家でできる」

「できるって・・・ストレートすぎ」

文句を言いながらも、抵抗する様子のない麗子。
俺は唇を重ねながら、優しく貪欲に愛し続けた。

こんな美人のくせに今まで男を知らなかったのが、どうしても信じられない。

でも、もう俺だけの麗子だ。
誰にも渡さない。
一生かけて幸せにする。
そのためには、麗子をその気にさせるしかないんだが・・・

「なあ、仕事は忙しいし、麗子にも会いたいし、今の俺は絵を描く時間はないぞ」
絵を描いてほしいと言ってきた麗子に、交換条件のように迫ってみた。

「そうね。でも、結婚は無理よ」
「どうしてだよ?」

こんなに相性がいいじゃないか。と、よっぽど口に出してやろうかと思ったけれど、麗子が怒りそうでやめた。

「お母様が反対してるじゃない」
「そんなの、放っておけ」

どんなことをしたって、母さんは賛成なんてしない。

「それでも、時間をかけてきちんと説得したいの」
「いつまで待つ気だよ」

その間俺は仕事に追われながら麗子を追いかける訳か?
ハアー、考えただけで気が滅入る。

「大体さあ、お前は俺といたくはないの?」
「そりゃあ、一緒にいたいわよ」
「じゃあ」
素直に結婚すればいいじゃないか。

「でも、ちゃんとみんなに祝福されたいの」
「そんな・・・」

平行線を脱しない会話に辟易して、俺はベッドに寝転んだ。