氷の美女と冷血王子

「どうしたんですか?」
突然現れた私に、驚いた顔をしたのは一華ちゃん。

一緒に飲みに行ったのがきっかけで、お互い名前で呼び合う仲になった。
とは言え、会社の外で会うのはこれが2回目。
それに、出会ったのがここだって事が意外だった。

そりゃあ鈴森商事も上場企業な訳で、そこの総合職の女の子ならそれなりの給料はもらっているんだと思う。
でも、ここはOLさんが1人で来る店ではない。
もしかして、

「一華ちゃん、どなたかお連れがいるの?」
お金持ちの彼氏と一緒っていうならわからなくもない。

「いいえ、1人です。今日はストレス発散に飲みに来たんです」
「へえー」

それ以上聞けないまま立ち尽くしていると、

「どうぞ座ってください。麗子さんの連れは電話中でしょ?きっとまだかかりますから、来るまでいてください」
「え、じゃあ」

勧められるまま、私は席に着いた。

とりあえず、一華ちゃんが飲んでいたカクテルと同じ物を注文し、ホッと一息。


「うぅん、美味しい」
「でしょ、このカクテルオススメなんです」
「ふーん」

随分常連な発言。

もしかして、一華ちゃんはいいところのお嬢さんなのかしら?
それなら秘書課にでも配属になりそうな物なのに、普通に営業の仕事をしてるし、

「私がここにいるのが不思議ですか?」

私の言いたいことに気づいたらしく、一華ちゃんの方が聞いてきた。

「そうね、少し」
気にならないと言えばウソになる。