氷の美女と冷血王子

どの位経っただろうか、私の中で時間の感覚が無くなりつつある。

外の喧騒も何も聞こえない中、ただジーッと足元の床を見ていた。

このまま孝太郎に会えなくなったら、私はどうなるんだろう。
もっとたくさん話しをすればよかった。
こんなことなら、「あなたが好きです」と告白すればよかった。
私は、孝太郎のためならどんなことでもするのに。

ウッ。
泣かないと決心していたはずが・・・
不意に目の前の景色が揺れた。

孝太郎、お願いだから無事でいて。
たとえ動けなくてもいいから、もう一度私を見て。
今度こそわたしから、告白するから。


「すみません、スズキさんのご家族ですか?」
手に書類を持った事務員らしい女性に声をかけられた。

「いえ、友人ですが」

「ご友人ですか?」
とても不思議そうな顔。

「そうですが、何か?」

不釣り合いなのは自覚しているけれど、ここまであからさまに態度にだされては、私も気分が悪い。

「いえ、随分歳の差のあるご友人だなと」

え?

「あの・・・鈴木孝太郎の話しですよね?」

何か違和感が・・・

「ええ、スズキコタロウさんです」

ん、んん?

「鈴木孝太郎、ですよね?」

「ですから、スズキコタロウさん。85歳」

ええー。

違う。
私はそんな人、知らない。


「すみません、間違えたようです」

ひたすら頭をさげながら、私は叫び出しそうだった。