氷の美女と冷血王子

「お待たせしました。ご案内します」
現れたのは40代に見える白衣の女性。ドクターかな?

私は、まるで雲の上を歩いているようだった。

自分の足が、自分のものでないようなフワフワした感覚。
それでも必死に力を入れて、女性の後に続いた。


「事故の詳細は聞いておられますか?」
「いえ、ケガをしたとだけ」
それ以上聞く余裕はなかった。

「スズキさんが運転していた車にトラックが突っ込んできたそうで、救出するのにも時間がかかったようです。こちらに搬送されてきたときには意識がありませんでした」

「そうですか・・・」

孝太郎は、きっと苦しんだろうな。
かわいそうに。

「失礼ですが、あなたはスズキさんの・・・」

どんな関係なのかと聞かれているらしい。

「友人です」

今はそうとしか言えない。

「えっ、ご友人ですか?」
とても不思議そうな顔をされた。

確かに、着の身着のまま飛び出してきたから、孝太郎とは釣り合わないと思われたのかもしれない。
しかたないわね。
不釣り合いなのは否定できない。