氷の美女と冷血王子

タクシーで20分。
私は中央病院へ到着した。

「すみません、鈴木孝太郎は?」
まずは救急外来の受付で声をかける。

「鈴木さんですか?」
若い受付の女の子が、カチカチとパソコンを叩いて確認を取っている。

「あの、ケガをして運ばれたって聞きましたが・・・」

救急外来の待合は患者さんで溢れているし、さっきから救急車のサイレンも鳴り止まない。
区内でも大きな病院だから、患者さんも多いみたい。

「ああ、交通外傷の患者さんですね?」
「多分そうだと思います」

現場で仕事をするわけでもない孝太郎が、大きな怪我をするって言えば交通事故くらいしかないだろうから。
間違いないと思う。

「スズキコタロウさんは・・・オペ中ですね」
随分とあっさり言われ、私はフリーズした。

「緊急手術で・・・。今、ご案内できるスタッフを呼びますので少々お待ちください」
「はい」

どこかに捕まっていないと床に崩れ落ちてしまいそう。
立っていられないほどの衝撃が私を襲った。

しっかりしなくちゃ。
孝太郎はもっと辛いんだから、私はしっかりと立っていなくては。

グッと奥歯を噛みしめて、私は案内を待った。