「そんなに困った顔をするな。俺は麗子を困らせるためにここへ来たんじゃない」
数分間の沈黙の後、俺の方が口を開いた。
俺にとって、麗子も孝太郎も大切な友人。
どちらにも幸せになってもらいたいんだ。
「徹が心配してくれているのは分かっているわ。本当にありがたいと思う。でも、私は鈴森商事に戻る気はないの」
「鈴森商事にって言うより、孝太郎の元にだよな?」
「そうね」
あれ、以外にすんなり認めた。
「このままじゃらちがあかないから、この際はっきり言うわね」
持っていたグラスを置き、麗子が俺の方を見た。
「私は彼のことが好きだった。何にでも誠実で、手を抜かなくて、不器用なくらい真っ直ぐに向かっていく姿勢に心が動かされた。この人のために何かしたいと思った。だから、危険に飛び込むような行動を取ったの。そのことに後悔はない。すべては自分で決断したことだもの。でも、」
そこまで言って、麗子の言葉が止った。
「でも?」
恐る恐る、先を促してみる。
「私はあの時、どんなことをしても河野副社長の陰謀の証拠が欲しかった。だから、三島さんの取引に乗ったの。『情報が欲しければ、今夜一晩僕に付き合ってください』と言われて、私はその意味を理解した上で受け入れた。その時、私はもう孝太郎の元を離れる決心をしたわ。だから、どんなに言ってもらっても、鈴森商事に戻るつもりはありません」
「麗子、お前・・・」
さすがに、絶句した。
気の強い、頑なな女だとは思っていたが、凄いな。
想像の遙か上を行く。
でも、
「それは、孝太郎を思っての行動だろ?」
「・・・」
麗子は返事をしなかった。
数分間の沈黙の後、俺の方が口を開いた。
俺にとって、麗子も孝太郎も大切な友人。
どちらにも幸せになってもらいたいんだ。
「徹が心配してくれているのは分かっているわ。本当にありがたいと思う。でも、私は鈴森商事に戻る気はないの」
「鈴森商事にって言うより、孝太郎の元にだよな?」
「そうね」
あれ、以外にすんなり認めた。
「このままじゃらちがあかないから、この際はっきり言うわね」
持っていたグラスを置き、麗子が俺の方を見た。
「私は彼のことが好きだった。何にでも誠実で、手を抜かなくて、不器用なくらい真っ直ぐに向かっていく姿勢に心が動かされた。この人のために何かしたいと思った。だから、危険に飛び込むような行動を取ったの。そのことに後悔はない。すべては自分で決断したことだもの。でも、」
そこまで言って、麗子の言葉が止った。
「でも?」
恐る恐る、先を促してみる。
「私はあの時、どんなことをしても河野副社長の陰謀の証拠が欲しかった。だから、三島さんの取引に乗ったの。『情報が欲しければ、今夜一晩僕に付き合ってください』と言われて、私はその意味を理解した上で受け入れた。その時、私はもう孝太郎の元を離れる決心をしたわ。だから、どんなに言ってもらっても、鈴森商事に戻るつもりはありません」
「麗子、お前・・・」
さすがに、絶句した。
気の強い、頑なな女だとは思っていたが、凄いな。
想像の遙か上を行く。
でも、
「それは、孝太郎を思っての行動だろ?」
「・・・」
麗子は返事をしなかった。



