「これからどうするつもりなんだ?」
俺は、カウンターの中で洗い物をする麗子に聞いてみた。
「どうもしないわ。このままよ」
このままって、
「お前はそれでいいのか?」
麗子だって孝太郎のことを嫌いになったわけじゃないだろう。
そもそも、今回の件の被害者は麗子だ。
傷つきボロボロになって、それでも被害を訴えないのは、ただ『思い出したくない。一刻も早く忘れたい』それだけではない。
事件を穏便に終結させる事によって、鈴森商事の受けるダメージを押さえたい。そう思ったから口を閉ざしたんだろう。そして、それは最終的に孝太郎のため。
麗子もまた孝太郎を思って身を引こうとしているんだ。
「孝太郎との関係は別にしても、お前の秘書としての働きぶりは評価が高いんだ。俺としては戻ってもらいたいんだがな」
嘘ではない。
今回の件については、麗子のお陰もあって大きな事件にはならなかった。
事の詳細を知るのは、この件に関わった当事者と社長以下一部の上層部達。
当然、秘書課の人間も麗子の活躍を知らないわけだが、それでも、「青井さんがいなくなって仕事の負担が増えた」と不満の声が上がってきている。
いなくなって初めて、麗子の優秀さに皆が気づいたようだ。
「今さらどんな顔して戻るのよ」
ちょっと馬鹿にしたような自嘲めいた声。
「どんなって、そのままでいいさ。元々、長期休暇って事になっているし」
「はああ?」
驚きで、口を開けたまま麗子が固まった。
だよな。でも、事実なんだ。
麗子の辞表は孝太郎が持ったまま、今はまだ長期休暇の扱いになっている。
俺は、カウンターの中で洗い物をする麗子に聞いてみた。
「どうもしないわ。このままよ」
このままって、
「お前はそれでいいのか?」
麗子だって孝太郎のことを嫌いになったわけじゃないだろう。
そもそも、今回の件の被害者は麗子だ。
傷つきボロボロになって、それでも被害を訴えないのは、ただ『思い出したくない。一刻も早く忘れたい』それだけではない。
事件を穏便に終結させる事によって、鈴森商事の受けるダメージを押さえたい。そう思ったから口を閉ざしたんだろう。そして、それは最終的に孝太郎のため。
麗子もまた孝太郎を思って身を引こうとしているんだ。
「孝太郎との関係は別にしても、お前の秘書としての働きぶりは評価が高いんだ。俺としては戻ってもらいたいんだがな」
嘘ではない。
今回の件については、麗子のお陰もあって大きな事件にはならなかった。
事の詳細を知るのは、この件に関わった当事者と社長以下一部の上層部達。
当然、秘書課の人間も麗子の活躍を知らないわけだが、それでも、「青井さんがいなくなって仕事の負担が増えた」と不満の声が上がってきている。
いなくなって初めて、麗子の優秀さに皆が気づいたようだ。
「今さらどんな顔して戻るのよ」
ちょっと馬鹿にしたような自嘲めいた声。
「どんなって、そのままでいいさ。元々、長期休暇って事になっているし」
「はああ?」
驚きで、口を開けたまま麗子が固まった。
だよな。でも、事実なんだ。
麗子の辞表は孝太郎が持ったまま、今はまだ長期休暇の扱いになっている。



