氷の美女と冷血王子

河野副社長が埠頭の倉庫に着いたと聞いてから、俺たちが到着するのに20分ほどの時間がかかった。

到着した時にはすでに河野副社長の姿はなく、見張っていた徹の部下からは『こちらには10分ほどの滞在ですぐに出て行った』と聞かされた。


「どうだ、麗子は中にいるのか?」
焦る気持ちの強い俺は、急かすように徹に確認する。

「ちょっと待て。今確認しているから」
忙しそうにパソコンを叩きながら、徹はなにやら探している。


「孝太郎、出たぞ」

え?

俺の方に向けられたパソコン。
そこには、

「麗子っ」

間違いなく彼女が映っていた。

「これは倉庫内に付けた防犯カメラの画像だ。普段は用事がない限り映して見ることはないんだが、リモートで操作してみた」
「お前って、凄いな」

こんな事ができるのか。

「ここが鈴森の倉庫だからできるんだ」

ふーん、やっぱり凄いよ。

「それより、麗子がかなり弱っているぞ」
「ああ、そうだな」

カメラからの距離があって細かいところまではわからないが、手足を拘束されているようだし、ぐったりと床に倒れ込んでいる。
急いで救出した方が良さそうだ。

「どうする?今通報したから、15分もすれば警察が来ると思うが」
「そんなの、」
待っていられるわけがない。

俺は辺りを見回した。

見えるのは荷物運搬用のリフトと、輸送用のトラックとダンプ。
元々荷物の1時置き場として作った倉庫だから、そんなに頑丈な作りではない。

この時の俺には、一刻も早く麗子の元に駆けつけることしか頭になかった。