氷の美女と冷血王子

「それで、河野副社長はどこへ向かっているんだ?」

徹の運転する車に乗り込み、しばらく走った頃に聞いてみた。

「はっきりはわからないが、埠頭の方に向かっているみたいだな」
「そうか」

埠頭にはうちの倉庫もいくつかあったはずだ。

「実は今朝から副社長秘書の三島さんの姿が見えないんだ。もしかしたら、麗子と一緒にいるのかもしれないな」

「三島かぁ」

どちらかと言うとおとなしくて悪事を働くようには見えないが、河野副社長が黒幕となれば、彼も一枚噛んでいると思った方がいいだろう。



「河野副社長の車が、埠頭のうちの倉庫に着いたらしい」
「やはり、あそこだったか」

『俺たちが着くまでは何もするんじゃない』と徹が携帯で指示を出し、車のスピードを上げた。


麗子、どうか無事でいてくれ。
お前に何かあったら、俺は自分が許せない。
頼むから・・・

無宗教信者の俺が、この時ばかりは必死に祈った。