とにかく落ち着けと時分自身に言い聞かせて、麗子の行きそうな所を考えてみた。
そんなに交友関係の広くなさそうな麗子だから、行くとしたらママの店か自宅マンション。そのくらいしかないと思う。
まずは1つずつ当たってみよう。


俺はその足で麗子の家に向かった。

ここに来るのは2度目。
隠れていたマンションに比べると小さくて、管理人が常駐しているわけでもなくセキュリティーだってあまい。
とはいえ、俺はここの鍵は持っていない。

誰にも止められることなく部屋の前までは来たが、
「さあ、どうするかな」
麗子がいてくれれば良いが、そうでなければ当然部屋には入れない。

ピンポーン。

チャイムをならしてみるが、やはり返事はない。
困ったなあと思いながら何気なくドアに手をかけたとき、

ガチャッ。

えええ?

開いた。

いや、開いていた。

そんなバカな。

俺は恐る恐るドアを開け中をのぞき込んだ。


「うわっ、嘘だろー」

そこはすごい状態。
一言で言えば嵐の後のようで、誰かに入られ荒らされた後だった。