氷の美女と冷血王子

その晩、俺は何度も麗子に連絡を取った。
しかし、返事が来る事はなかった。

もしかして怒っているのか、それとも調べ物に夢中で俺など眼中にないのか、麗子の事だから後者かもしれない。
目を閉じていても、麗子の事が気になった。
でもさすがに家を抜け出すわけにもいかず、その日は自分のベッドで眠るしかなかった。


翌朝、

「お母さん、しばらく忙しくなりそうだから遅くなるときにはホテルを取るよ。その時はちゃんと連絡をするから」

「えぇー」
不満そうに俺を見る母さん。

しばらく何か言いたそうにしていたが、さっさと食事を始めてしまった俺にそれ以上言ってくる事はなかった。

心配性な母さんのことだからきっと文句があるんだろうが、仕事と言っておけば表だって反対はできないだろう。
とりあえずこれでしばらくは自由に麗子のところに行けるはずだと、ホッと胸をなで下ろした。

麗子は強くて自立した大人の女性だ。
俺がいなくても自分の意志で進んでいける人だ。
でも、だからこそ、この時俺はもっと心配するべきだった。