氷の美女と冷血王子

翌日も、俺は仕事に追われていた。
自分で思っていた以上に麗子の抜けた穴は大きくて、仕事が全くはかどらない。


「ねえ、この書類も頼んだデータも間違いばっかりじゃないか」

会議の直前になって頼んだ書類に間違いがあることに気づいた俺は、秘書室に駆け込んだ。

「申し訳ありません、再度確認します」
うなだれる秘書達。

しかし、そんなことを言っている時間はないんだ。
あと15分もすれば会議は始まるし、こんなデータでは仕事にならない。

「もういい、自分でするから。会議を30分遅らせるように伝えてくれ」
「でも、それでは後のスケジュールに」

言いかけた秘書を、俺は思いきり睨んだ。

「そう思うなら、きちんとした仕事をしてくれ。青井君はどんなに忙しくても、ミスのない仕事をしてくれた。よってたかって文句を言う暇があるなら、自分の仕事に責任を持ってくれ」

「・・・」
秘書達は泣きそうな顔で俺を見ている。

でも今の俺にはそんなことにかまっている余裕はない。
麗子がいない分ただでさえ俺は忙しいんだ。
これ以上足を引っ張らないで欲しい。

「会議は30分遅らせてくれ。それに伴ってのスケジュール調整は、任せる。さあ時間がないんだ、テキパキ動いてくれ」
言いたいことだけ言って、俺は秘書室を出た。

ったく、麗子がいなくなって彼女の有能さが身に染みた。
それまで秘書課の女性達とどうやって仕事をしてきたのか思い出せないくらいだ。
こうなったら、どんなことをしてでも麗子を連れ戻そう。
そうでなければ、俺の仕事が立ちゆかない。