氷の美女と冷血王子

専務が出張に行って数日。
私はいつも通り日常業務をこなしていた。

トゥルル トゥルル。
内線電話の呼び出し音。

「はい、専務秘書室です」

「秘書課の山田です」

それは、意外な人からの電話。
普段挨拶程度しかしない秘書課の山田早百合さん。

「お疲れ様です」
「お疲れ様です。突然ですが、今日のお昼に付き合ってもらえませんか?」

え?

山田早百合さんは秘書課の3年目。
確か、銀行の頭取のお嬢さんだと聞いた。
私との接点なんてまるでないのに、なぜだろう。

「ダメですか?」
「いえ」

なぜ誘われたかはわからないけれど、断わる理由もない。
この機会に、他の秘書さんと親しくなれるなら、悪くはない。

「いいですよ。ご一緒します」
「本当ですか?」
「はい」

「よかったー」
嬉しそうな山田さん。

何がそんなに嬉しいんだろ。
何かあるのかな?
多少疑心暗鬼になりながらも、私はランチの約束をした。