氷の美女と冷血王子

その後、私達は一緒に会社を出た。
迷いもためらいもなく、私の本能がそう求めた。
今夜は一緒にいたいと。


「すごい部屋ね」

さすがに私の部屋のシングルベッドでは狭いし、ムードもなさ過ぎると一流ホテルのスイートをとってくれた。

「たまにはいいだろう」

たまにどころか、私にとっては一生の記念になるかも。
そう思ってしまうくらい豪華な部屋。


「わあー、見て。夜景がすごく綺麗」

高層階の窓から見下ろす街は、まるで宝石箱のよう。

「美人のくせに、ちっちゃな事で喜ぶんだな」
ポツリと呟かれた言葉。

「美人に生まれたことが幸せとは限らないわ」

こんな事人前で言えば、非難の嵐だろうな。
でも、これが正直な気持ち。

「そうだな、金持ちが幸せとは限らないしな」
「そうね.」

どんなに幸せそうに見えたって、人にはそれぞれ苦労があるのよね。