氷の美女と冷血王子

午前中は定例の会議。
今日は社長が出席するから、役員達もみんな顔をそろえた。

「孝太郎さん、こんな所にいていいんですか?」
ニタニタと話しかけてくる男。

「山通の荷物が事故でダメになったんですって?大変じゃないですか」

フン、やかましい。
会社の不利益をそんなにうれしそうに話すな。

「ご心配には及びません。手は打っておりますので」
「そうですか、それは良かった」
ちっともよかったって顔をしていない狸じじい。

河野副社長。
年は確か、50代半ば。爺さんである先代社長の代からこの会社にいる古株。
口うるさくて仕事には厳しいが、数字にめっぽう強い。その点に関しては父さんも一目置いている。
しかし、俺はこいつが大嫌いだ。

「山通はうちの取引先でも大口ですからね、もし取引停止なんてことになれば孝太郎さんの責任問題にもなりかねません」
「・・・分かっています」
あんたに言われなくても、十分承知している。

「それは、楽しみですね」
意地悪く笑う河野副社長。
こいつは絶対に俺がしくじることを望んでいる。最低の男だ。

「すみません、失礼します」
徹が声を掛けた瞬間、副社長の表情が変わった。

「専務、社長がお呼びです」
「あ、はい」
失礼しますと頭を下げ、俺は徹の後に続いた。