氷の美女と冷血王子

「これ、どうやって調べたんだ?」
おおよその見当はついているが、一応本人に聞いてみる。

「そんなのどうでもいいじゃないですか」
「はあ?それ、本気で言ってる?」

俺は、普段からできるだけ感情を出さないように生きてきたつもりだ。
動揺を見せれば足元をすくわれるんじゃないかと強がってきた。
しかし、彼女の前ではそれが通用しない。

「手段はどうあれ、ここにある証拠は河野副社長が黒幕であることを示しています。今重要なのはそのことでしょう?」

一体何がいけないのかって態度を崩そうとしない彼女。

「これが表沙汰になれば、君は捕まるんだぞ」

俺は、あっけらかんと言い切った彼女を脅したつもりだった。
しかし、

「分かってますよ」
キッパリはっきりと言い切る。

「じゃあ、なぜこんな危険なことをした?」
お前はことの善悪もわからないほどのバカなのかと怒鳴りたいのを、グッとこらえた。

「それは、専務を助けたいと思ったからです」

どうやら、彼女の中で悪いことをしたつもりは全くないらしい。
本当に、困ったお嬢さんだ。


「こんなことをして俺が喜ぶとでも思ったか?」
「それは・・・」

「お前が危ないまねをして、俺が心配しないとでも思うのか?」
「・・・」

「やっていいことと悪いことの判断もつかないほど、子供な訳じゃないよな?」

ギリッ。
奥歯を噛みしめる小さな音が聞こえた。

ちょっと言い過ぎただろうか?
とった手段は別にして、彼女の行動は俺を助けるためだった。
危険を承知で、俺のために動いてくれた。
そのことは認めてやるべきだったのかもしれないと、うつむいてしまった彼女を見て心が痛んだ。

「・・・すみませんでした」
少し声を振るわせ、デスクに置いた書類に手を伸ばす彼女。

俺は彼女の手に自分の手を重ねた。