氷の美女と冷血王子

今まで、自分の生まれも育ちも窮屈に感じることばかりで、恵まれていると思った事は無い。
しかし今回ばかりは、金持ちの息子であることに助けられた。

情報をくれる友人たちがいなければこんなにも早く真相を突き止めることができなかったし、対応策を練ることも難しかっただろう。
やはり、鈴森商事の御曹司であることが解決には大いに役に立った。
まぁ、そもそも俺が鈴森の跡取りでなかったらこんな騒動自体起きていないんだから感謝することもないのかもしれないが。

「孝太郎、もう大丈夫なんだな?」
「ああ、心配をかけた」

俺が徹と会ったのは騒動発覚から2日後の夜だった。
会社にも顔を出さず走りまわった俺はやっと事の終息を図ることができた。
まだいくつか問題が残っているが、川崎社長の潔白の証拠は用意して記事を止める段取りをした。
来週早々の重役会議で役員たちを納得させれば、事業計画は再び動き出すだろう。

「河野副社長の事はどうするんだ?」
「そうだな・・・」

一気に解決したいところだが、そう簡単にもいかないだろう。
長い間会社を支えてきてくれた河野副社長を排除することは、容易ではない。

「このままには出来ないだろう?」
徹も心配そうな顔だ。

「直接話してみるよ」

河野副社長がどんなつもりかわからないが、今回の事件の黒幕であることに間違いは無い。
出来る事なら穏便に解決したいが・・・

このときの俺は、自体を少し甘く見ていた。