氷の美女と冷血王子

川崎卓の父は、川崎達吉。
関東川崎組の10代目。
川崎組は日本でも3本の指に入る大きな組織。
一人息子の卓は11代目になるはずだったが、今まで一度も組との関係を持つこともなく今日に至っている。

元々この川崎達吉という人も、やくざにしては珍しくインテリらしい。
都内の有名大学を卒業後会社勤めをしていたが、先代の急死で後を継ぐしかなくなった。
だからかな、名前を検索して出てきた写真も全くやくざには見えない。
どこかの社長さんのように、穏やかな笑顔の写真が並んでいる。

「いい人に見えるんだけれどね」

さらに詳しく調べていくと、
川崎紙業は川崎卓社長が資金5000万円で起業した会社。
その出所は、おそらく川崎達吉氏だろうと書かれている。

やっぱりそういうことか。
『黒い金の流れ』も、間違いではないのかもしれない。

さらに、川崎卓氏のSNSもチェック。

そこには穏やかな表情の卓氏とかわいい子供達と綺麗な奥さん。
時々実家での食事風景なんかも出てくる。
幸せそうな家族。
そこに演出は感じられない。

でも、変だな。

会社を経営していて、資金調達で少なからず後ろめたいことがあれば、組長である父との写真をこうも堂々と出すだろうか?
いや、普通は隠すはず。

ちょっと興味を持ってしまった私は、川崎紙業のメインコンピューターにアクセスしてみることにした。
もちろん、これは違法行為です。