私は、ADHDのうちの1つ、記憶障害を持って生きている。


記憶できる脳のワーキングメモリが、普通の人よりも少なく、新しく覚えることを処理できない病。


ただ、自分の名前や親のことなど、小さい頃からずっと一緒にいる人や、昔から習慣化していることは覚えている。


その日にあった人、その日に言われたことなどは、時間が経つと忘れていく。


そしてこれらの事は、1日経つと全て記憶から消える。


出来事は全て日記に記すことが必要不可欠になり、毎日それを見返さなければならない。


見返してもそれを思い出すことは難しいが、内容を見て、頭に叩き込むように覚えさせる。


その症状に気づいたのは小学生の頃で、成長していくにつれ症状も酷くなっていった。


自分でも徐々に周りと何か違う…ということに気づき始めていたのだ。


みんなが私を変人扱いして、親しい友人は1人も作れなかった。


だって、普通だったら友達の名前を簡単に忘れないのに、私は当然のように記憶から消えていくのだから。


出会ったその日に話しかけられても、時間が経てば思い出せない。


誰なのか、何をしたらいいのかが分からない。


そうしたらみんなが私を避けていく。普通じゃないから、あの子は少しおかしいって。


毎日が息苦しくて、辛くて、どうしようもない。


中学生になった頃、私は最初から人と親しくならないことを決意した。


そうすれば誰も傷つかない、みんなが避けていくこともない、私が辛い思いをすることも軽減できると思ったから。


友達なんて、いる方が辛くなるだけだ。