「晴香、病院行こう」


いつもは笑顔を絶やさない母親が、何やら今日は元気がない。


いつもとは対称的なその姿に、私は子供ながらもその変化に気づいた。


「なんで?晴香、どこも痛くないよ?」


どこも異常がないのに、病院に行く理由が分からなかった。


「ごめんね、でも、お母さん心配なの」


今日は笑顔がない母親が、怖い。


私は特に泣くこともなく、ただ悲しげな表情をしている母を見つめるだけだった。