次の日の放課後から、私は早速生徒会のメンバーとして活動することになった。


周囲の視線は私に集中している。


「新しく生徒会の仲間になった1年生の上野さんです!」


みんなの前で笑顔を見せる日高先輩は、大きな手で私の肩に優しく手を乗せた。


「上野晴香です…」


私は緊張で周囲を見渡せず、自信を無くしたように俯いた。


「1年生で書記をしてる橋田藍来です!晴香ちゃんよろしくね!入ってくれてありがとう!」


1番最初に喋った彼女は美しい人だった。綺麗な栗色のロングストレートの髪に、白い歯を見せながら目元がくしゃっとなるその笑顔に一層目を惹かれる。


私を安心させるように、明るく元気な声でそう伝える。


「3年生で副会長の鈴木空良、よろしく」


「2年生で会計をしてる石川夏輝です。なんでも相談のるよ~」


彼女に続き、二人の男の人が軽く自己紹介をする。


早く伝えなきゃ、私のことを。


「あの…私は、」


それはすぐに言い出せなかった。


きっとまだ心のどこかに恐怖心があるから。


「メモしていいよ!遠慮しないで大丈夫だからね」


私のことを全て知っているかのようにそう言う人。


「太一さんから晴香ちゃんのこと聞いたんだ。だから我慢しないで?ここにいる全員は晴香ちゃんのことを全部受け止める。」


「そうだよ、俺らは毎日伝える、何回だって名前を言うし、何度だって教える、嫌になんかならない!」


ここにいる人達はすごく温かった。私に新たな場所をくれた。


「私の名前は橋田藍来だよ!」


「俺は鈴木空良だよ~」


「俺は石川夏輝!ほら、ここに座って書けるよ」


困り顔なんて一つも見せない。嫌な感情なんか出さない。


その大きな優しさが本当に心地よくて、嬉しい以上の何か、言葉じゃ表せないほどの思いが溢れ出すようだ。


「ありがとうございます」


少しづつ、少しづつでいいんだと気づかせてくれた。


心を縛っている鎖が徐々に解ければ、私はきっと変われる気がした。