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「おい、起きろ!凛っ!」
遠くの方で、聞こえてきたその声が徐々に近づいてくる。
ゆさゆさと身体が揺らされている。
「んっ......」
まだ、重たい瞼を開けると、目の前に拓海の綺麗な顔があった。
「お前まで寝てどうすんだよ!さっさと帰るぞ」
その言葉に、私も寝てしまったんだという事を理解した。
外は既に暗くなりかけている。
時計を見ると、5時半はとっくに超えていた。
「はっ!ごめん!」
まさか、起こさなかったからこれで負けるってことないよね......?
私も寝ちゃうとは思わなかったーー。
「こ、これはセーフ......だよね?」
「あ?なんの事だ?」
よかった、起こさなかったのは命令違反にはならないらしい。
「早く帰るぞ」
「あ、待って」
スタスタと、先に教室を出た拓海を追いかけて歩いた。
ふたり分の足音が校舎に響いている。



