でも、私にとっては、ラッキーでしか無かった。


こんな簡単な事を続けていれば、飴を貰えるのだから。



「それじゃ、5時半になったら起こせよ。おやすみ」



唖然としているうちに、拓海はなぜか私の足を枕にして寝息を立て始めた。


いつの間にこんな体制に!?

5時半まで、じっとしてろって言うの?



「......っ、なによこれーー」



寝るなら、普通に寝て欲しい。

ーー私の足を枕になんてせずに......。


それに、窓から入る風が拓海の髪の毛を動かす。


ふわふわと揺れるそれは、私の足に触れる度くすぐったかった。


やることも無いので、ぼーっとしたまま時間を過ごす。



「それにしてもーー、羨ましいくらい綺麗な顔」



きめ細かい肌は、血色もいい。

こんなに整った顔の人は、そうそう居ないだろう。


嫉妬しながらも、気持ち良さそうな寝顔に、私の睡魔も誘われてやってくるのだった。