〈1日目〉


遂に、勝負の日がやってきた。

私は気合を入れて、放課後呼び出された空き教室に足を踏み入れる。



「逃げなかったんだ?」


「逃げるわけないでしょ」



どうしても、挑戦的な物言いになってしまうのは、仕方の無いことだろう。


ちなみに、私と拓海が顔を合わせるのは、これが2回目だった。

改めて見てみると、こいつ、顔はいいんだよねーー。


少しウェーブのかかった短めの黒髪に、スッキリした高い鼻、痩せすぎているわけでもなく、程よい肉付きのある体型だ。

一言でいえば、モテそうな人。



「それで、今日は何するの?」


「あ~、そうだな......寝る」


「はっ?」



思ってもいなかった言葉に、開いた口が塞がらない。

ーー寝るって、どういうこと?

肩を揉めとか、宿題やれとか、飲み物買ってこいとか言うんじゃないの?


予想と違いすぎて、どうしたらいいのか分からない。