飴玉ひとつ、メロウ味



そう、言って指さしたのは拓海の前にあるスペース。


昨日の様な、ぶっきらぼうな言い方ではなく、初めて会ったときの様な、なにか企んでいる様な言い方だ。


い、いったい、今日は何をーー。

恐る恐る、私は言われた通りに後ろを向いて座った。


よいしょっと座った途端、お腹に腕を回されて、後ろに引っ張られる。



「きゃっ......!」



私はあっという間に、拓海の足の間に収まっていた。

やられたーー。

警戒していたのに、座った直後の少し緩んだ所を狙われた。


私の背中は、拓海の胸板に密着している。

そして、あろうことか、私の頭に顎を載せてきた。



「あ~、やっぱり収まるな」


「......」



それは、私がチビだと言いたいのだろうか。


確かに、小さいのは認めるけれど、なんか癪に障る。

拓海には言われたくない。



「っ......離してよ!」