飴玉ひとつ、メロウ味



ーーなにか、話した方がいい?

でも、話題が......。


何を話したらいいのか分からず、お互いに無言のまま、靴を履き替え外に出る。


さっきまではまだ少し明るかったのに、既に日は落ちて暗くなっていた。



「じゃ、じゃあ......私ーー」



こっちだから、帰るね。

そう言って背を向けようとしたのに、拓海に遮られた。



「どっちだ?」


「え?」



ーーなにが?



「家」



さも当たり前の様に聞かれて、私も思わず答えてしまう。



「こっち......」


「わかった、行くぞ」


そう言って、私の指さした方に向かって、手を取って歩き出した。

なんで?どうして?


この状況に、頭がついて行かない。


そんな私に気づかず、拓海は斜め前を歩いている。


私の視線は、掴まれている右手から話せない。

これはーー、手を繋がれてるの?



「ちょっと、なんで手ーー」