「ねぇ、恋が叶う飴って知ってる?」



私が、その話を聞いたのは、どれくらい前だっただろうーー。


どこか、旅行に行った時に聞いた気がする。

幼い頃の思い出なので、記憶が曖昧なのは仕方の無いことだ。


ただ、覚えているのは、小さな瓶の容器に、一つだけ虹色の飴玉が入っていること。


その飴を、好きな人に自分の手で食べさせること。

ーーそれだけだ。


その話を聞いて以来、私はずっと恋が叶う飴を探していた。