ロネまで嬉しくて泣いてしまいそうだった。二人は笑い合い、ロネが優しくゾーイの手を取って左手の薬指に指輪をはめる。

「幸せにするよ」

「私も、ロネを不幸になんてさせないからな」

二人の唇がゆっくりと重なろうとしていた。



「ーーーネ!ロネ、起きて!」

「んっ……。うわぁ!!」

目の前にあったゾーイの顔にロネは驚き、体を起こす。ロネとゾーイがいるのは数時間前に自分たちが乗った列車の中だ。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。

「夢か……」

プロポーズしたことが夢だったことにロネは残念だと呟く。隣ではゾーイが首を傾げ、「もうすぐリリスに着くぞ」と言っていた。

学校を卒業したロネは、世界一の魔法使いになるためにゾーイと共にあちこちの国を旅している。その国の魔法使いや人々と関わり、学校ではない魔法を学んでいる。

二人は北の大国、リリスにやって来た。この国ではロネとゾーイの生まれた国よりも神話や少数民族が多い。