「だから、話きいてやるって言ってんだろ！」
「でも……。」
「あー！うざい！」
谷口の肩がびくりと揺れた。
「このやり取り、無駄すぎる！」
「す、すみません……。」
「いいから、話せ。」
谷口は、ズズっと鼻を一度すすり、どれだけ泣いていたのだろうか…少ししゃがれた声でぽつりぽつりと話し始めた。
「あの…わたし、この通り、話すのが二…ニガテ…で……電話の対応が悪いと、その…取引先から、直接…あの…クレームが……。すみません……。」
「いつものことじゃねーか。なんで、また今日は。」
「い、いつも…なんです。わたし…会社では絶対に泣かないって…き、決めてて……でも…家でも泣きたく、ないし……いつも、ここで……。」
こいつ、別に泣かない奴って訳じゃなかったんだな。
こうやって、いつも一人で抱え込んで泣いてたのか…
「……すみません。情けない、と、ところを、見せてしまって……。でも、わたし…く
、悔しくて……わ、わたしも…ちゃんとしたい…。もっと…しっかり……。悔しい……。」
そう言って、また目が潤んだ。
谷口は、涙がこぼれてしまう前に、再び袖で目をこする。
こいつ、悔しくて泣いてたのか。
