「は?」





今の俺は、相当間抜けな顔をしているに違いない。





「前に言った、恋愛がわからないって悩み、覚えてて下さったんですね!ありがとうございます!」






そんな俺にはお構いなしに、谷口は嬉しそうに話を続けていく。






「いや、そうじゃなくてだな!」


「え?違うんですか?だって、彼氏と上手くいく為に、わたしと連絡しないようにしてたってことですよね?神崎さん、優しすぎます!」





そう言って、またあのキラキラした目を向ける。






「はぁ……。」






誰だ。こいつを、こんなに口達者に成長させたやつは……

いや、俺だ。阿呆か。



もう一度、横を見やると、あの目のまま、





「神崎さん?」






と、小首を傾げられた。



くそ!かわいいな!

あー!もう!






「わかったよ!仕事だろうが、プライベートだろうが面倒みてやるよ!」





完全に俺の負けだ。





「ありがとうございます!」


「ただし!やるからには、覚悟しとけよ!」


「はい!がんばります!」





そう言って、また笑うこいつを見ていると、あぁ悪くねぇなと思ってしまう自分がいた。