今度はこっちが、フリーズする番だった。





「わかって頂けましたか?あ、信号青ですよ!」


「あ、あぁ。……すまん。完全に勘違いしていた。俺はてっきり……。」






やっちまった。

まさか、女性だったなんて。

合コンで知り合ったっていうから、てっきり。



いや、よく考えて見れば確かに、こいつが初対面の男と仲良くなれる訳がない。

冷静に考えれば、わかったはずなのに。

こいつが絡むと、どうも上手く自分の気持ちをコントロール出来ない。

イライラしたり、嬉しくなったり。こいつが落ち込んでいれば、どうにかしてやりたいと、思った。




あぁ、そうか。

俺は、こいつを……






「わたしの方こそ、誤解を招くような言い方をしてしまって、すみません。」


「いや、俺が悪い。私情を挟んで、冷静さに欠けてた。」





もう、わかってしまった。

そして、逃げることも隠すことも出来ない。いや、その必要はない。

全て誤解だったのだから。






「私情…ですか。」





谷口もなにかわかったようで、もしかしてという表情で、俺の言葉を繰り返す。




もう言ってしまおう。

うだうだするのは、性にあわない。






「あー、さすがに気づいたと思うが、俺は……、」


「神崎さん!」


「あ?」





急に大きな声で名前を呼ばれて、俺の言葉は遮られる。