「わたし、気づかないうちに、神崎さんに失礼なことしちゃいましたか?」


「いや……。」






絞り出すような声に、胸が締め付けれる。

こんな顔をさせたい訳じゃない。

悲しい気持ちにさせたい訳じゃない。


俺は、こいつが幸せになればいいと思って……






「わたし、もう嫌われちゃったんですか?」



「いや、そうじゃない。」


「じゃあ、どうして急に冷たくするんですか?目が合ってもそらされちゃうし、会社で質問しても他の人に振っちゃうし、わたし……神崎さんとの電話も楽しみになってたのに……。」






震える声は、どんどん小さくなっていって、今にも消え入りそうなくらいだった。






「じゃあ、それも三津利に頼めばいいじゃねぇか。」






上手く表情が作れない。

声も、怒っているような冷たいような、自分でもコントロール出来ない調子になってしまった。




「どうして、今、三津利さんの名前が出るんですか?」






こいつ。恋愛が苦手とは言っていたが、疎いにも程があるだろう。

はっきり言わなきゃ、わかんねぇのか?



あー!もう!





「だって、お前。そいつが好きなんじゃねぇのか?つうか、もう付き合ってるのか?」



「え?」



「なんかある度に俺に連絡してたら、彼氏が嫉妬するぞ。」






さすがに、これでわかっただろう。