それからも、会えば挨拶をするが、それだけで、会話はしない。
もちろん電話が掛かってくることも無い。
そんな日々が続いていた、ある日曜日だった。
《♪〜♪〜♪〜》
家でテレビを見ていると、テーブルの上のスマホが鳴った。
画面を見て、驚く。
なんで?急に?
一瞬、出るのを躊躇するが、なにか緊急事態かもしれない。
そう思い、おそるおそる画面をタップする。
「もしも……、」
「神崎さん!ど、どどどどうしましょう?!どうすれば?!」
間髪入れずに、慌てた声が電話口から飛び出す。
「は?おい、谷口?どうした?」
「た、大変なんです!あの、とにかく、どうしたらいいのか!」
あまりの慌てぶりに、久しぶりの電話で気まずいなんて気持ちは一発で吹っ飛んだ。
本当に緊急事態らしい。