その後も仕事を続け、気づけば谷口がいつも電話を掛けてくる時間が迫っていた。
やば。
はやく帰らねぇと。
反射的にそう思ったが、考えれば、あいつは合コンに行ったんだった。
今日は掛けてこないかもしれない。
「はぁ……。」
大きなため息が、もう誰もいないフロアに響いた。
あいつ、どうなったかな。
ちゃんと会話できているだろうか。
どもってねぇだろうか?
握りこぶし作ってねぇだろうか?
……それとも、もうしっかり会話が出来て、楽しく過ごしているんだろうか?
そして、田原曰くよりすぐりの優男たちのどれかを気に入って、仲良くなっていたりするんだろうか?
「……帰るか。」
余計な考えが巡って、イライラする。
仕事に集中したいのに、ふいに気が逸れてしまう。
意味のない残業になりそうで、仕事は途中だが、俺は切り上げて、会社を後にした。