その後は仕事に集中していたが、人の出入りの気配が多くなってきた事に気づいてふと顔を上げると、終業時間を過ぎていた。



谷口は……



まだ、仕事をしている。

大丈夫か?




すると、谷口の元へと田原が近づいて行ったのが見えた。






「谷口っちゃん、大丈夫?終わる?」


「あ、はい。もう、あとこれだけなんですけど……。終わりました。」


「よかった。じゃあ、外で待ってるよ。」


「はい。」





わたわたと帰り仕度をしているあいつをなんとなく見ていると、ふいに目が合ってしまった。



なんか声掛けるか?

いや、でも急いでるだろうし、距離も結構離れてるし…

なにも言えないでいると、谷口はぺこりと頭だけ下げて、行ってしまった。




ま、そんなもんか。