《♪〜♪〜♪〜》
その日の夜のいつもの時間。いつもの着信。
「はい。」
「お疲れ様です。谷口です。」
「あぁ、おつかれ。」
「神崎さん、今日も残ってましたよね?大丈夫でしたか?」
「納期、迫ってるからな。けど、大した事ねぇよ。」
「そうですか。」
ここの所、残業が続いてはいるが、こいつとの電話の時間に間に合わないような日はない。
この電話の時間までには、必ず仕事を切り上げている。
それより、同僚の田原とのことが気になっていた。
あの後、外に出なければならなくなり、どうなったのかは分からないままだった。
どう切り出そうか悩んでいると、向こうから、そういえば、と話を振られた。
「今日、初めて田原さんとお話しました。」
「へぇ…。」
なぜか、興味のないような、素っ気ない返事をしてしまう。
そうじゃないのに。