「前より明るくなったし、元から小動物みたいでかわいかったけど、男は放っておかないんじゃなーい?」
「なんだそりゃ。」
ニヤニヤとこちらを見る。
何が言いたいんだ。
「谷口っちゃんて、カレシいるの?」
あいつに、彼氏……
考えたことも無かったが、今までのあいつの言動と行動をみるに、いないんだろう。
……おそらく。
いや、でも分からない。
女子なら実は、ちゃっかりそんな存在がいたりするのか?
「……いないんじゃないか?たぶん。」
自信が無くて、そう答えれば、
「えー。たぶん?谷口っちゃん係なのに?」
と、ブーイングされる。
谷口係は関係ないだろ。
「知らん。」
「いいや。自分で聞いてみよーっと。」
「は?」
「お前とはなせるんだから、オレでも大丈夫でしょ。」
そう言われて、なにも言い返せなかった。
確かにこいつは、ちゃらちゃらしているが人当たりがいい。
ここは大きな会社だが、他部署にも知り合いが大勢いる。
対して俺は、一部の、特に女子社員から怖がられていて、会社で口を開くのは大体説教とくれば、同僚との人脈の差は天と地の差。
「おーい、谷口っちゃーん!」
早速話しかけに行った同僚に、俺は何も言えなかった。