「そっちはどうだ?ランチでの会話、順調か?」
「はい!おかげさまで。聞いて下さい!この前の映画の時に食べたケーキのお話をしたら、お2人とも甘い物が大好きらしくて、今度、オススメのカフェに連れて行って頂けることになりました!」
電話越しにも分かる。
きっと今、こいつはあの笑顔で楽しそうに喋っているのだろう。
そう思うと、さっきまでのイライラは嘘のように治まっていく。
「よかったじゃねぇか。」
「はい、神崎さんのおかげです!」
軽く飛び跳ねているような声に、思わず顔がほころぶ。
「阿呆。お前が頑張ったからだよ。」
「え?」
「本当、よくやった。」
「神崎さん……!ありがとうございます!あの…で、ですね……。」
「ん?」
「その…、また、予行演習…というか…ですね……。」
急にごにょごにょ的を得なくなった会話に、治まりかけていたイライラが顔を出す。